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COLUMN コラム

縁をつなぐかたち「EN」02

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デザイン分析

keep me in the loop

実はデザインの提案時には EN という名前はついていませんでした。 (EN①参照)
しかしシリーズ名が決まった後に出来上がってきたデザインを分解していくと、円とループで出来上がっている ことはとても興味深いです。

ループは直訳すると「輪」という意味ですが、英語の慣用句に「keep me in the loop」というものがあります。
それは「最新情報を教えてね」というような意味です。言い方を変えると、「輪の中に入れておいてね」です。
EN には円やご縁という意味が含まれています。つまり“つながり”です。 意図していたかどうかは定かでありませんが、EN はつながりを大切にしたデザインと言えるのではないでしょうか。

ENで見られる3つの基本型

ENは主な構成要素として単純な3つの形から出来上がっています。
線にするととても単純な円、半円、そしてループ、ENと3つのベーシックな形の関係性は、製品に重ね合わせてみると一目瞭然です。

〜新しいカラー〜

このプロジェクトは「MARUNI COLLECTION に”新しいカラー”を加えて欲しい」という深澤直人の言葉からスタートしました。

カラートレンドは毎年変化しますが、EN発表時の 2022 年は柔らかく優しい色味が主流でした。
セシリエ・マンツは7色をコマーシャルカラーとして選択しました。そのうち5色は今までMARUNICOLLECTION にはなかった色です。

「ほんの少しの微妙なトーンでも何かを表現し、特定の雰囲気を作り出すことができます。これが私がここでやろうとしたことです。」とセシリエ・マンツは言いました。今までのカラーパレットにほんの少し異なる色彩を加えて、異なる張地の色が合わさったときにもうまく作用するよう考慮されています。

ソフトとシャープの融合

熟練の面取り加工

ENには面取り加工を施しています。面取り加工はおせち箱などの重箱などに用いられる技法ですが、マルニ木工が昔から生産しているクラシック家具にも多く用いられる技法です。

ENでは、斜めにスパッと切り落とす45度の面取りを採用しました。

木のフレームの内側を斜めに切り落とすという細工をすることで優しい陰翳を生み出し、工芸的な職人の手のぬくもりを感じられる雰囲気を作りだしました。EN(円)から連想すると、とても丸く優しい雰囲気を思い描きますが、甘くなりすぎないバランスを保つのは天板や背もたれ、そして座面が地面に対して水平なラインを保っている美しさです。

テーブル天板の曲面

天板は天板下側にゆるやかな曲面を取り天板を薄くすっきりと見せ、水平さを際立たせる工夫を施しました。
また椅子の背もたれの上下は水平なラインが保たれています。 そうすると背中の当たり方が座り心地に影響しそうですが、3次元に木材を削り出す技術で(工夫で)背中にあたる部分は柔らかな曲面に仕上げています。
そうすることで背もたれの上下は水平なラインを保ちつつ実際に座ってみると背中にフィットする仕組みです。玄人好みのポイントです。

EN①にもあるように、セシリエ・マンツは“オブジェクト”、“モノ”の細部に宿る機能性、また機能美と工芸品のつながりを大切にしているデザイナーです。

こうして振り返って改めて見てみると、細かなディテールまでこだわる点でセシリエ・マンツとマルニ木工が深く“つながって”いることが分かります。

EN シリーズの未来

スッキリとしたデザインの EN ですが、かなりの玄人好みのモノづくりだと思います。
一見して良いデザインというよりは、じっくり観察することで段々とその良さがにじみ出て来るように思います。

日常に色を加え、またそれぞれの輪郭が柔らかに溶け込み時と共にソフトに変化していく家具 EN
日々の暮らしの中でその空間をどのように変化させ、馴染んでいくのかこれからがとても楽しみです。

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2023/3/24

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