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2022/11/7

プロダクトストーリー EN @

【新しいカラー】

2008年に始まったブランドMARUNI COLLECTIONは深澤直人さんと、ジャスパー・モリソンさんの2名のデザイナーと共に、毎年新作を発表してきました。漸くブランドの基礎ができてきた中で、新しいデザイナーを加えたいという話が出始めていました。それはMARUNI COLLECTIONの価値観を共有しつつ、新しい”カラー“を加えてマルニ木工のさらなる成長に導いてくれるようなデザイナーである必要がありました。この”カラー“には単なる色だけではなく、特徴や世界観という意味も含まれています。

「MARUNI COLLECTION に新しいカラーを加えて欲しい」

ブランドのアートディレクターである深澤直人さんからセシリエ・マンツさんに伝えた言葉です。

デンマーク出身のセシリエ・マンツさんはご両親か陶芸家ということもあり、幼いころからモノづくりを身近に感じられていたそうです。“オブジェクト”、“モノ”の細部に宿る機能性、また機能美と工芸品のつながりを大切にしているそうです。

陶芸家のご両親と共に幼少期には、有田焼で有名な佐賀県に暮らしたこともあるセシリエ・マンツさん。近年はデンマークの企業をはじめ、日本企業にも多くのデザインを提供されています。皆さんの身近なアイテムにももしかしたらセシリエ・マンツさんデザインの製品があるかもしれません。彼女のデザインはシンプルで機能的でありながら、素材を生かした温かみのあるものが多く見受けられます。

MARUNI COLLECTIONには初の女性デザイナーになります。言葉でうまく表現はできませんが、出来上がった製品を見ることで、深澤直人さん、ジャスパー・モリソンさんのデザインと、セシリエ・マンツさんのデザインにはそれぞれカラーの違いがある気がします。

【ラウンドテーブルに込めた想い】

初めての打合せの後、セシリエ・マンツさんよりラウンドテーブルをデザインすることの提案がありました。

なぜラウンドテーブルだったのか。
日常生活での多くの活動はテーブルや椅子の周りで起こります。家族・人々がそれらの周りに集まり、体験や想像が生まれ、またその体験や想像を共感して繋がりが生まれます。それほどテーブルや椅子は生活の中でとても重要な要素の一つです。

セシリエ・マンツさんはそうした考えのもとテーブルデザインを提案くださいました。人々が集まるきっかけ、団らんや平等なども含めたコンセプトの、この時点ではまだ名前のないラウンドテーブルの制作が始まりました。

【シンプルなデザインほど具現化が難しい】

マルニ木工にとってセシリエ・マンツさんは2011年のジャスパー・モリソンさんの参加以来となる新しいデザイナーとの協働となりました。今まで彼女がデザインした作品の特徴を理解していてもお互いが使用する「言語」や「意図」を一つ一つ理解していくというプロセスが非常に重要です。

深澤直人さんとジャスパー・モリソンさんとは、数年協働してきたという経験から、商品開発を進めていく上での共通認識のようなものがありましたが、セシリエ・マンツさんとの商品開発はお互いの「意図」を理解する作業から始まりました。

ましてや商品開発がースタートした直後、世間はコロナ禍真っただ中。オンラインミーティングが定着してきているとは言え、デンマークと日本という距離も時差もある環境のもと自由に行き来できない中でデザインのすり合わせを行うことはとても難しい作業でした。

商品開発担当者はセシリエ・マンツというデザイナーを誰よりも理解し、彼女の「言葉」や「意図」を作り手である試作職人や工場現場へ丁寧に伝えENシリーズを作りあげていきました。

セシリエ・マンツさんはENの新作発表会の中で、マルニ木工を「新しい挑戦を恐れない企業」と表現くださいました。深澤直人さんは「シンプルに見えるものほど難しい。それを表現したマルニ木工の凄さを見て欲しい」と。

お二人のデザイナーにこのようなお言葉をいただき、開発担当と工場は心の中でガッツポーズをしながら叫んでいたと思います。

【ENという名前】

提供されたデザインからほぼ完成に近づいたころ、名前を考え始めました。

様々な候補の中、双方同意の名前が「EN(えん)」でした。

日本語では“円””丸“”縁“という意味のある”えん“は、実はデンマーク語では”1“”ひとつ目“を意味する言葉でした。コンセプトは人々を繋げる丸いテーブル、そしてマルニ木工との最初の取り組みであること、それ以上の説明は不要なほど、「EN」はしっくりとくるネーミングでした。

丸いテーブルを囲み、中心を眺め語らい新しい創造が出来る、そんなコンセプトのテーブル「EN」はこうしてMARUNI COLLECTIONに仲間入りしました、

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