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COLUMN コラム

【連載 &Furniture】うつわと食卓

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暮らしのさまざまなシーンと家具との関係を考える連載の第一弾は「うつわと食卓」。日々の暮らしのなかで重要な役割を示す食事。おいしい料理ができたら美しく盛り付け、テーブルの上に並べて、食卓を楽しく囲みたい。そのために必要なうつわとダイニイングテーブルの条件とは? 神奈川・鎌倉でギャラリーを営む〈うつわ祥見 KAMAKURA〉さんと一緒に考えてみました。

レシピサイトはもとより、SNSでもさまざまな料理の作り方が学べる時代。料理のバリエーションが増える一方で、食事をよりおいしく、豊かに彩るために大切なのが、食卓のあり方です。さまざまにあるダイニングテーブルや食器から、どんな組み合わせで選べば良いのでしょうか。

テーブルは、好きなデザインのものを選ぶ前に、部屋のボリュームと椅子との関係をきちんとチェックしておきたいもの。肘掛けが幕板(天板と脚を固定し、強度を保つ横長の板)に当たらないか、テーブルの脚が椅子の配置を邪魔しないかなど、ゆとりをもって室内を移動できるような動線を確保しながら、空間の余白を意識することも大切。暮らしの風景を俯瞰しながらイメージを膨らませていくと、より理想的な食卓に近づくでしょう。

一方でうつわは、量産品にも素敵なデザインはたくさんありますが、さらに自分らしいしつらえを考えたいときに手に取りたいのが、作家モノのうつわです。

「まずは、普段の食卓の様子を頭に思い描きながら、日常で一番手にする機会が多い形を揃えていくのがオススメです。自分にとってどんなうつわが必要か。うつわを選ぶことは、自分自身の生活を見つめるヒントとなることがあるんですよ」

そう話すのは、鎌倉で多数の作家の陶磁器を取り扱うギャラリー〈うつわ祥見 KAMAKURA〉広報の伊藤梨香さん。カップとしてだけでなく小鉢としても使える「そば猪口」や、いろいろな料理を一皿に盛り付けるワンプレートパスタ皿としても活用できる「7寸(約21センチ)の平皿」など、手始めにいろいろなシーンや料理に対応する“使い勝手の良さ”から選んでみるのが良いと付け加えます。

特に土物(つちもの)と呼ばれる陶器は、使い続けることで艶が増し、貫入(かんにゅう:釉薬のなかに現れるヒビのような模様)が進むなど、成長していきます。木製の家具も、樹種によってそれぞれに特徴的な色合いがありますし、呼吸をしながらゆっくりと生き続けるもの。このようにゆっくりと時間をかけて次々に現れる変化に、食事をしているときにふと気づく。そんな楽しみも、食卓を囲む時間の楽しみの一つです。

テーブルセッティングをするときに難しいのが、うつわの組み合わせです。好きなものばかりで揃えて、同じタイプのものばかりが並んで食卓が少し寂しく見えてしまうことも。

「そんなときは色調を揃えながら、うつわの高さを変えてリズムを付けたり、大皿の上に中皿を置くなど受け皿を加えてみる。もしくは、大皿の横に豆皿や小さなカップを添えるなど、形や大きさの違いでテーブル上を描き出してみると良いかもしれません」

釉薬によってさまざまな表情を見せるうつわ同様に、テーブルも樹種によって、明るいビーチやメープル、中間色のアッシュ、そしてオーク、ウォルナットという順でより深みのある色調が揃っており、バリエーションも豊富。テーブルトップの色味とうつわのセレクトによって、表情にも変化が現れます。家での食事はいつもどおり、日々繰り返される行為ですが、少しだけ感覚を広げて細部にまで意識を及ぼしてみると、飽きのこない充実した時間になると思います。

少しずつうつわのコレクションがまとまってきたら、食事のメニューや時間帯によって、セッティングに変化をつけると、また違った風景が現れてきます。朝、昼、夜とのシーン別のスタイリングをうつわ祥見さんに教えてもらいました。

清々しい朝の光と明るい色調のテーブルに合うのは、シンプルな美しい白磁の洋皿にトースト&サラダを盛り、コーヒーを注いだマグカップを添えて。

吉田直嗣/鉄釉マグカップ、白磁洋皿
永島義教/silk スープスプーン

テーブルのエッジに肘や手を置いたとき心地良いように、天板の縁取りに緩やかな傾斜を付けた、シンプルながらも機能的な形をした「Lightwood」。

午後のティーブレイクは、繊細で上品なたたずまいのうつわを組み合わせて、優雅に演出。ラウンドテーブルの曲線とうつわの柔らかさが呼応。そこに艶やかな黒漆の盆に載せることで、茶道具のディテールの美しさが際立ちます。

田村文宏/白磁鎬ポット、白磁輪花湯呑み
矢澤寛彰/漆盆、阿南維也/金彩焼締4寸皿
永島義教/zemmai デザートスプーン、ミニフォーク

テーブルはそり型の脚で安定性を確保しながらも、天板の端を薄くすることで、全体の印象を軽やかに仕上げた「EN」。

テーブルを囲んで愉しむ晩酌は、力強い土もののうつわとともに。大皿から取り分ける取り皿は、うつわ単体で存在感のある魅力的なものをセレクト。

手前から左回りに
小野象平/黒化粧7寸皿
吉田直嗣/鉄釉中鉢
下村淳/粉引7.5寸リム皿
八田亨/白掛石皿

丸みのあるシルエットで豊かで温もりを感じさせるラウンドテーブル「Tako」。緩やかな曲線を描く脚も印象的。

何気ない日常を美しく彩り、幸せな気持ちに包み込むうつわとテーブル。自由な組み合わせを楽しみながら、自分らしいたのしく、おいしい食卓をつくってみてください。

photo_ Ayumi Yamamoto
text_ Hisashi Ikai
cooperation_ Utsuwa Shoken

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