マルニ木工 × minä perhonen Vol.3 つくり手から暮らしへ、豊かさのかたち
ものづくりとは、形を作り出すことではなく、思考が時間をかけて形になっていくことなのかもしれません。
皆川 明さんは、縫製工場で生地づくりを教わりながら服づくりを始められたといいます。
昔からの技法も生かしつつ、今の技術の方がふさわしい時には柔軟に取り入れていく。生地づくりの現場で重ねた気づきや工夫が、つくる喜びとなり、そこで見えてきた課題や悩みも、今のものづくりへとつながってきました。

プロダクトは、わたしたちの手に届くずっと前から、たくさんの人の手と時間が丁寧に積み重ねられて生まれています。素材となるものを育てる人、それらを素材へと仕立てる人、形にする人、そしてそれらを支える人たち。
その一つひとつの工程に、思考と技術があり、その人たちの生活があります。
そうして育まれた時間と手間が、ひとつの布や家具を形づくっています。
完成したそのものだけに価値があるのではなく、そこへ至るまでに重ねてきた時間と営みこそが、ものの価値なのだと感じられます。

発注と受注という関係ではなく、「ともにつくる」こと。
人生の時間の中で、仕事がどれほど心を満たすものであるか。つくる人が喜びを感じながら取り組める環境こそ、長く愛されるものを生み出す基盤になっていきます。
つくる人が前向きな気持ちで取り組めることこそが、アイデアとクオリティに継続性を持たせ、本質的なものの美しさを生むのだと感じます。
使う人の暮らしを想像し、つくる人の時間と労力に敬意を払う姿勢、それがminä perhonenのものづくりのように思えます。

そして、その時間は工場で終わるものではありません。つくる人の手から受け継がれた椅子やお洋服は、私たちのもとへ届き、今度は使う人の暮らしの中で、新たな時間を積み重ねていきます。
つくられた背景を想像し、思い入れを感じながら選ぶことが、日々を心地よく、豊かにしてくれるのです。
皆川さんは、マルニ木工のものづくりを「和食のよう」と表現されたことがあります。たとえば見慣れた食材の大根でも、煮崩れしないよう面取りをする。
さまざまな素材があるけれど、どんな素材も平等に、丁寧に手をかけることで、豊かなものになっていきます。

minä perhonenのテキスタイルもまた、現実の中で物語をまとい、日常を豊かにしてくれます。家具は、そんなお洋服の次に、身体に近い存在です。
どちらも、ただ使うための道具ではなく、使う人の時間の中で愛情を育て、思い出を重ねていくもの。
手間を惜しまず、愛情を持って長く使っていただけるために。
手に渡った方にとって特別なものになるように。
そんな想いを持ちながら、ものづくりを続けてきました。
つくる人の時間が、使う人の時間へと受け継がれ、その積み重ねが、また次のものづくりへとつながっていく。
そうして、私たちの暮らしは少しずつ豊かさを深めていくのだと思います。
これからも、minä perhonenとともに、そんなささやかな喜びや日常の豊かさを育てていけるようなものづくりを続けてまいります。




