PATISSERIE ASAKO IWAYANAGI/東京
東京都世田谷区にあるPATISSERIE ASAKO IWAYANAGI(パティスリー アサコ イワヤナギ)はその名の通り、シェフパティシエール岩柳麻子さんのお店で、2015年にオープンしました。コンセプトはフランス語で「インスピレーションの始まりは、あなた。」
お店の外観はしっかり中まで見ないと通り過ぎてしまいそうになるくらい、シンプルで目立った看板などもありません。椅子とテーブルがありますので、天気の良い日はテラス席も気持ち良いと思います。
内装はグレーをベースに統一された空間で、少し張り詰めた空気があります。張り詰めた空気といってもパティシエの方々はとても楽しそうに動き回っていました。なぜだろうと思いながらパティシエの方々の動き回る足元を見ていたら、中世ヨーロッパの修道院を連想しました。修道院は神聖な場所です。それが帰るころにはこの空気感は日本の神社みたいだとも思い始めました。とにかく清い空気が流れている感覚です。
注文したのはイチゴの季節という事もあり、パルフェビジュー®フレーズ3,500円。平日は60、休日は100個限定です。
出されたパフェを見て思わずため息です。ああこの清い空気感はこのパフェのためにあったのだ、と納得する美しいパフェが出てきました。
いちごは全部で4種類。とちおとめのソルベ以外はすべて色の異なるフレッシュないちごです。赤い古都華、ピンクの淡雪、そして白い天使のいちご。トップにはフランボワーズの飴が飾られ、すぐ下のいちご型のいちごムーズ(半解凍)の中にはいちごジャム、ルッコラのジェラート、さらにその下にはフレッシュないちごの間に様々なソースが入っています。ブラケットダックイ(赤ワイン)ジュレ、レモンジュレ、マスカルポーネフロマージュブランクリーム、すみれとベリーのガナッシュソース、フランボワーズクラックラン。いちごはマリネやコンポート、シトラスジャムなどにも使われていました。
そしてこのパフェ、生クリームが一切ありませんでした。パフェはスイーツです。スイーツと言えばその名の通り甘いものを想像しますが、このパフェは甘くありませんでした。甘さ控えめというよりは素材の甘さ以外の「加えた甘さ」がほとんど感じられません。そして食べ終わった時は、食事を終えた時のような満足度がありました。衣食住の“食”事をするようにパフェをいただく、そんな感じでした。マリネに入っているいちごは、フルーツというよりは、野菜という感覚。
サイドには塩とオリーブオイルが添えられています。ルッコラのジェラートに特に合うとお店の方に教えていただき試してみましたが、ルッコラの味がオリーブオイルでとても際立ちました。ジェラートにオリーブオイルをかけるなんて考えたことありませんが、一度口にしたらオリーブオイルなしでは考えられない程でした。また塩もジェラートやジュレに混ぜてみたりして味の変化を楽しんだり、次の味へ行く前の口直しもできます。
飲み物は隣のASAKO IWAYANAGI PLUSのバリスタが淹れるコーヒーか日本茶を選択できます。この日は日本茶を注文しました。包種茶と呼ばれる緑茶に近いウーロン茶だそうです。パフェととても合い、優しい香りと味わいが冷めてからでもおいしく、やはりお茶は淹れ方がとても肝心だと思わされました。
お土産にスコーンを購入しましたが、これがまたとても美味しかったです。特にプレーン。ドライフルーツやチョコレートが入ったものももちろん美味しかったのですが、他の味を一切加えていないプレーンがおいしいという事は、あとは全部おいしいと言っても過言ではないと思っています。
店内のイートインスペースにはHIROSHIMAアームチェアをお使いいただいております。あまりにも前のめりにパフェに夢中になり、背もたれを感じることなく30分座り続けたのは初めてかもしれません。
季節が変わるごとに、定期的に通いたい場所が増えました。
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2020/4/9