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COLUMN コラム

2023年 G7広島サミット Vol.02 ー接着から納品までー

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2023年5月21日に閉幕したG7広島サミットにて、マルニ木工の製作家具が使用されました。
2回に渡ってそこに至るまでの経緯をお届けしているVol.02。
Vol.01はこちらから

一枚の美しい板を作り上げる

木取りで部材を揃えたら、続いて接着です。
前工程で揃えた順番を間違えないよう、目印を付けて接着を進めていきます。

天板は一枚の板に見えるように接着を進めていきます。

Vol.01の完成イメージCG画像を見ると、テーブルの脚部は円形に繋げていく必要があります。集成した部材を、フローリングと同じ凹凸をつける構造で繋げていくという方法を取りました。
精度の高い凹凸を作るだけでも、かなりの時間を要しました。

工芸の工業化

マルニ木工のモットーは工芸の工業化です。その集大成の一つといえるのが、削りと磨きにあると思います。できる限り機械化を進めながら、最後の磨き工程では職人の手で確かめながら仕上げていきます。そうして出来上がる家具の”触り心地の良さ”を、日本国内のみならず、世界中の方々が称賛してくださっています。
今回もその本領を発揮しています。

まず、接着が完了したパーツをCNC機械で削っていきます。ラインに乗せるわけではありませんが、木取りと並行してこのCNCプログラミングが行われていました。

HIROSHIMAアームチェアをはじめとするマルニ木工の製品は、そのほとんどがこのCNC機械を一度は通過します。

CNC機械についての詳細:コラム プロダクトストーリー④“三次元”

長方形に接着した部材を扇形にカットして組み合わせて、美しい木目の円形天板を製作していきます。

CNC機械で削った後は、人の手による磨きです。実際にその木部に触れながら確認し、テーブルの天板、裏側、脚部など、全ての箇所どこに触れてもなめらかで、いわゆる引っ掛かりが無いように丁寧に仕上げていきます。

95年にわたる技術の蓄積

出来上がったパーツを組立ていきます。

細かな微調整を何度も重ねて組立ます。
天板上など目に見えるところはもちろんですが、目に見えない天板裏にも気を遣います。この組立、解体の作業を何度も重ねて美しい製品に仕上げていきました。

図面設計担当も加わり、図面と現物での最終確認を行います。

実はこの日は4月15日。デザイン承認からちょうど1ヶ月後のタイミングです。
このタイミングでなぜ、ほぼ完成形の組立をしているか。それは円卓テーブルに設置するドームカメラの設置検討会が4月19日に予定されていたからです。
つまり約1ヶ月でほぼ完成まで持ってきていたということになります。

各メンバーが図面設計に信頼を置き、与えられた図面を読み解き、どの手順で進めれば良いかをそれぞれが考え作業を進める。
95年もの間、積み重ねてきた技術と信頼が今回の成功のカギだったのではないでしょうか。

触れたい国名プレート

今回はテーブルに設置される国名プレートもご注文いただきました。

当初の受注数はグランドプリンスホテル広島、及び、岩惣(いわそう)で使用される首脳とシェルパ用の、計40個でした。その後、G7広島サミットとは別に、アウトリーチ会合での使用が決まり、倍のご注文をいただきました。

そして、サミット開催国の調整は最後の最後まで行われるようで、ギリギリのタイミングでUkraine(ウクライナ)のプレート発注!
遅れての納品とはなりましたが、サミット開催の前日、5月18日に間に合わせる事が出来ました。
納期が厳しい中でしたが、多くの方々の目に、手に、触れていただける機会とあり、喜んで製作にあたりました。

国名プレートのデザインは2種類。その両方にMARUNI COLLECTIONの「思わず触れたくなる!」といったイメージを踏襲し、表面をとても滑らかに仕上げました。
納品の際には「思わず触りたくなるような雰囲気」と、マルニ木工にとって最高の誉め言葉をいただきました。

いよいよお届けの時

ドームカメラの設置検討会後も、引き続き調整を進め、いよいよ出荷です。

組立シミュレーションを何度も重ね、約1時間で組立を完成できるよう想定して、いよいよ5月11日に本社湯来(ゆき)工場を出発しました。

納品時の写真はありませんが、テレビ放映などで設置されたテーブルとHIROSHIMAアームチェアをご覧いただいた方も多いのではないでしょうか。

G7を終えて

技術部責任者に話を聞きました。

2022年5月に広島開催が決定されてから、ぜひともやりたい!と心の中では思っていました。とはいえ、自分達が表に出て何かできるわけではありません。ひたすら待ちました。
実際に受注は、予定より数ヶ月押して開催の2ヶ月前というタイミングでしたので、手放しでは喜べない不安もたくさんありました。でも役割分担を決め、設計が完成した段階で気持ちも落ち着いてきました。頼れる仲間がそれぞれの役割を理解し、動いてくれたからです。

次回、またこのようなご注文があったとしても、ぜひやりたいと思います。学ぶことも多くありますし、断るというスタンスは持ちたくないです。

入社数年の職人たちもプロジェクトに関わりたかった、と言ってくれました。そういった声もとても嬉しく、またたくましく思います。
今回はスピード重視の部分があったので経験豊富なメンバーを選出しましたが、世界中が注目するような素晴らしいご注文だったので、もしまたこのような機会があればぜひ経験して欲しいと思います。それが自信となり商品に活かされると思います。

こうして日数にしてはとても短く、精神的にはとても長いマルニ木工のG7は終了しました。

仕様詳細

G7にてご使用いただいたHIROSHIMAアームチェア(張座)の仕様

    • 木部・仕上げ: オーク ナチュラルホワイト(NL-0)
    • 張地: 皮革#5191(L-01 マルニスムース 5191 ブラック)
    • 寸法: W560 x D530 x H790 x SH455mm *海外仕様

*海外仕様にてご購入希望の場合はお問い合わせよりご連絡ください。

3年保証、最短3週間でお届け

マルニ木工では、特定の製品に対して3年間の品質保証を行っています。
詳しくは、以下の各対象製品の品質保証規約をご覧ください。

マルニ木工の品質保証